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カウンセリングについての詳しい説明

【カウンセリングとは何か その①】

​ 仕事で携わる子ども達に「カウンセリングってどんなことをすると思う?」と問うと、「悩みを相談するところ」と答えてくれることが多いです。これは、正しい答えだと思います。実際、臨床心理士の元を訪れる方は生活の中で困りごとや悩み事があり、それらをどのようにしたら解決できるか、その解決方法や答えを求めてくる方が多いかと思います。

しかし、臨床心理士が行うカウンセリングではその悩み事に対して、むやみに解決方法を伝えることや助言をすることに重きをおきません。

​では、具体的にカウンセリングではどのようなことをするのかを述べますと、

①まずその方が置かれている状況を丁寧に傾聴し、②どのような気持ちになるのか、③なぜ自分がそのような気持ちに動いていったのかを対話を通して探ります。そして④そのような気持ちを持つ自分と今後どのように付き合っていくかを一緒に考える、という流れが、主なカウンセリングです。①〜③を通して自分自身について探求したり自分についての気づきを得るようになると、不思議と体調が良くなったり、物事や他者に対する捉え方が変わったり、生活を微調整できるようになり、結果として「前より少し生きやすくなった」と感じられることがあるのです。

カウンセリングとは、単に今目の前にある悩みからの解放という即時的な効果だけが目的なのではなく、この先様々な困難と直面したとしても

”自分らしく”対処し生きやすくする力を身につける時間、と考えていただいて良いかと思います。

【カウンセリングとは何か その②】

 「カウンセリングとは何か その①」の中で、カウンセリングとは対話を通して自分についての気づきを得ることやそれによって今より生きやすくなる力をつけることが目的と述べました。

もう1つ、カウンセリングの効果としてお伝えしたいものが「カタルシス効果」というものです。専門的な定義としましては「欲求や感情、葛藤を言語的に(あるいは非言語的に)表現し、意識化、または発散することで精神症状が消失する現象」とされています。このような難しい定義はさておき、自分の話を誰かに聞いてもらうだけで少し安心できたり気持ちが前向きになれたりする経験は、多くの方にあることでしょう。

このような気持ちの変化も、カタルシス効果と言って良いと思います。

​悩み、相談事というほどではなくとも、ご自身の日常の出来事やそれについての気持ち、考えを誰かに話したい、聞いてもらいたいと言った、いわゆるカタルシスを目的にお越しいただいても構いません。自分の生活圏内にいる家族でも友達でも同僚でもない、第三者の存在であるカウンセラーに話すことによって「まずは話をゆっくり聞いてもらえただけでスッキリした」、「今の気持ちの整理をすることができた」と感じられることもあると思います。カウンセリングには「守秘義務」がございますので、カウンセリングの時間の中で語られたご相談内容、及び個人情報は外部に知られることはありません(ただし自他に生命の危険が生じる可能性がある場合など、いくつか例外はあります)。安心してどのようなことでもお話しください。

【臨床心理士のカウンセリングについて その①】

 たまに「臨床心理士としてカウンセリングを仕事としています」と話すと、「じゃあ人の心が読めるの?!」と言われることもあります。しかしそれは大きな間違いです。むしろ他者の心は「わからない」が出発点です。わからないからこそ臨床心理士はまず話を聴くのです。

 カウンセリングは「結局ただ話をするだけ、その話をウンウンと聞いてもらうだけ」というイメージを持たれることもあるのは、上記の「カウンセリングとは何か その①」に記載した①〜③の段階に時間の重きを置いているから、ということもあるかもしれません。しかし、カウンセリングはクライエントとカウンセラーとの共同作業です。クライエントがこれまでに体験してきたこと、見てきたもの、それらに対してどのように心が動き、どのような選択をして生きてこられたのか。それを知らずにクライエントの”自分らしい”生き方を共に考えることはできません。これまでの生き方を共に振り返り、今の思いを共に感じ、そしてその先の”自分らしい”生き方を見出せるようなお手伝いをすること。それが当ルームにおけるカウンセリングにて、最も大切にしたいことと考えています。

【臨床心理士のカウンセリングについて その②】

 先ほどの「カタルシス効果」の説明の際に述べたように、自分の気持ちを誰かに話すだけでも気持ちが軽くなることがあります。その際には「スッキリした、話を聞いてもらえてよかった」と思われるでしょう。その一方で、カウンセリング=癒しの時間ということではない、ということも知っておいていただきたいと思います。自分の心に向き合うということは、言葉ほど容易な作業ではありません。時に、無意識の中に封じ込めてきた怒りや悲しみ、憎しみ、自分勝手な欲求、自分の愚かさ。見ないようにしてきたものにも直面し、それらと向き合うことになることもあります。それにより、時に心に痛みを伴うことも、また時に、臨床心理士に対して苛立ちの感情が芽生えることもあるかもしれません。それでも、自分を偽らずに心の中にある様々なものと真摯に向き合うことを通して、新たな自分に気づき、また出会い、”自分なりの”生きやすさや豊かな人生につながる可能性が開かれるのだと思います。

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